おくりびと

DJポチ

2009年03月17日 17:29


 

所属する東京のオーケストラが解散し
職を失ったチェロ奏者の大悟は演奏家を続けることを諦め
妻の美香を連れて故郷の山形に戻ってくる
「広末はチョイエロなサービスがあるが
いつも後ろにいて地味な存在」

誰もがいつかは迎える死と
その日が来るまで笑って泣いて生きる人々の姿を
夢や仕事への誇り、あるいは親子
夫婦の絆を浮かび上がらせて描いた

第81回アカデミー賞において
外国語映画賞を受賞した「おくりびと」は
第32回モントリオール世界映画祭でも
グランプリを受賞しているが
名作にありがちな、制作秘話は苦労が耐えない

最初に話がいった東宝が地味すぎると断って
松竹が配給したのだが
東宝は過去最高の興行収入を記録しながら
最高の名誉を逃す苦渋を味わった

納棺師という世間に知られない
職業に着目した点もすばらしいが
日本的な死者を弔う一連の儀式だけでは
海外の人に高く評価されることはなかっただろう

ひとつはユーモアにあふれた内容であること
社長の山崎努と本木雅弘のやりとりは
固い日本人らしからぬ、柔軟な印象をあたえ
伝統的慣習でも楽しくみられる

もうひとつは宗派にかけなく
すべての宗教に対応していたこと
これは、衝撃を受けたのではないかと思う

さらに、戦争映画ばっかりで
うんざりしていた米国人にとって
のどかな風景とチェロの音は心に染みただろう

『死』という未知の世界と密接に関わる
仕事を通じて、人と人との間にある絆の
大切さや温かさといった普遍的なメッセージを
感じてほしいと、本木は言っているが

生まれた時も、死ぬ時も
人の心を揺さぶるものは
どちらも一緒のものではないかと思う

本木は、チェロの音色で
比喩的に観客の心ゆさぶるという
細かいこともやっているが

平田 正吉=笹野高史に
川にのぼるサケのシーンで
あるセリフを言わせている

その彼は、ある職業の人で
意図的な発言だったのがあとでわかる

ラストシーンでぞんざいに扱われる
父親をみて憤慨したのは納棺師だからであって
ある物を得てから先は
息子としてのシーンになっている

それが魂の絆を意図しているものなら
ここだけは映画的な部分になる
愛情とは、永遠に失われず
それは誰かに引き継がれていく

川のシーンとラストシーンの
このふたつだけは本木の想いが
どこよりも強いと思えた


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