ＤＪ犬による映画雑談

「性欲とは戦いで発奮するもの
ヒーローの悩みは生々しい」

スーパーヒーローが実在する
もう一つの実在の歴史を舞台に

核戦争が迫る世界の平和を
『300＜スリーハンドレッド＞』の
ザック・スナイダーがついに映画化

ウォッチメンのヒーローは
現実の世界で時代背景や
道徳に翻弄される生身の人間と
中身が変わらない設定

勧善懲悪のノーテンキな
ヒーローとの違いは一目瞭然で

コスプレな外見に騙されて
安易にみると、痛い目にあう映画だ

物語の狂言回し役でキーパーソンの
ロールシャッハからして難解な性格の持ち主

ある事件をきっかけにして
人間を善悪の二つでしか割り切れない

それは、我々が秩序を保つ為に必要とする
規則や法律と一致しない場合もある

酔って人を殺すからと言って
飲酒を禁止するわけにはいかない
普通の人なら、それを無茶苦茶という

マスクをしているのは
たんに偽善であるように受けとれもするが
観衆のその期待は軽く裏切られる

馬鹿正直なまでに純粋な男の
傷だらけの顔をみせられると
その憎しみに、同情せずにいられなくなくなる

その顔を作り上げた
ジャッキー・アール・ヘイリーという
役者のうまさは称賛にあたいする

コメディアンの事件に
必要以上にからんでくるのは
自己矛盾というものに
悩まされた人だったからだろう

そんな彼とは真逆である
DR.マンハッタンは
すべてを超越した世界唯一の超人

人間性を喪失しているので
細かいことを気にせずにすむ
独自の価値観は神に近い

彼は全身ＣＧで再現された為に
無感情なキャラとしての印象をうけるが
人間的な習慣と恋人の存在で
少しは緩衝されている

物語は冷戦時代。
核の脅威で、世界滅亡がせまるなか

ある人物が、世界平和を実現するべく
DR.マンハッタンを利用した計画を実行する

目的のためには手段を選ばない
目的は手段を正当化するといった類は

そもそも、法治国家における
正義や合理性を照らして確かめていく
一切の手順を無視する愚行をさす

ラストの衝撃的な展開は
ロールシャッハの性格から
納得も賛同もできないのは当然

DR.マンハッタンも予知能力で
ことの顛末を知る以上は
あの行動は、正解であるのは疑いない
ゆえに、ナイトオウルは彼を責めなかった

このシーンでロールシャッハは

善悪の象徴である覆面をはぎ取って
利己的に割り切ったDR.マンハッタンを
人間らしい行動と中傷し皮肉った

映画は、この事件を中心にしながらも
その進展は、かなり遅くなっている

その合間に、
ナイトオウルとシルクスペクターの
恋愛が描かれているからだが
手抜きがない豪華な内容だった

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